書標 2005.8月号
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今月の表紙  その207 伊丹三樹彦


 田の神の二体移され 帯まつり

 静岡、藤枝、島田はよく訪う。句友がいるからだ。特に島田の場合は例の大井川と日本では珍しく長い蓬莱橋や川人夫の溜り場がある。それ以上に島田の神社で見つけたのが、この田の神。博物館ではなく、野晒しだ。苔まで生やしてる。百姓が田の神の姿をとり、クワやスキを小道具にして抱いているのが面白い。田神に手を合わせる機の少ない現代人も飯を喰う限りは拝みたい。それにしてもユーモラスな像だ。西欧にはないだろう。
 俳句の帯まつりは、この宮を基点とし、賑わう。いま、流行らないが、島田髷(まげ)も全国に知られる。ほかに、駅前の左手に連歌師宗長の碑や芭蕉句碑があり、俳諧の盛んな土地柄。小生が講演で初めて招かれたのは三十年以上昔で、この地に、口語俳句『主流』があり、現代語俳句宣言をした件による。縁(えん)の不思議だ。



(表紙題字 陳舜臣)