書標 2005.4月号
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今月の表紙  その203 伊丹三樹彦


 煎餅で焼かれもするとは 平家蟹

 関門は文字通り、日本の関門でもある。下関と門司の間の海峡をも指すが、ここを境として海内と海外に分れる。今は海上に橋が架かり、海底にトンネルが通じて往来は簡単だ。
 昔は船でしか通れなかったので、関門の眺めには格別の思いを抱いた。僕は天津への船旅で通ったので、古人の感慨の一端を味わうことができた。
 昨秋、小倉で現代俳句協会の大会があったので、後日を関門観光とした。幸い、青玄の仲間である鳥越夫妻の車で、要所を案内して貰ったが、この赤間神宮の龍宮造りの門構えには心惹かれた。いうまでもなく壇の浦で滅んだ平氏の犠牲となって共に入水した安徳天皇のことだ。境内の一隅には平家塚があり、これを詠った虚子の句碑もある。門前の巨石に注連縄が張られているのも見逃せぬ。



(表紙題字 陳舜臣)