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今月の表紙 その198 伊丹三樹彦
月見膳用意の皿音 瓢亭は
俳句講座に出向くこと、月に三十回。自分ながら呆れるほどだ。が、その後の街歩きの楽しみがある。
京都の場合もそうだ。河原町三条の朝日会館を出ると、この日は地下鉄に乗り、蹴上駅で降りた。南禅寺界隈の写俳取材が目当である。先は無隣庵に入る。山縣有朋の別荘で東山を借景にした名庭がある。雨模様でもあったので唯一人居ない。存分に清閑の刻を味わった。出ると、すぐ近くにこの瓢亭がある。月見の頃とあって、入口の床几には尾花が活けられていた。思い切ってのれんを潜ると、相憎と「看板の時間どして」と仲居さんにことわられた。やむを得ず、南禅寺前の「順正」で湯豆腐をとることにした。和服の美女が二人居て、交るがわるに接待の誠を盡してくれた。写真を撮りたかったが気後れがした。
(表紙題字 陳舜臣)
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