書標 2004.11月号
今月の表紙 歳時記〈11月〉 著書を語る 特集「今をときめく翻訳家」 書標・書評
新刊案内 ジュンク堂ベストセラー トークセッション 本屋うらばなし
インフォメーション バックナンバー
今月の表紙  その198 伊丹三樹彦



 月見膳用意の皿音 瓢亭は

 俳句講座に出向くこと、月に三十回。自分ながら呆れるほどだ。が、その後の街歩きの楽しみがある。
 京都の場合もそうだ。河原町三条の朝日会館を出ると、この日は地下鉄に乗り、蹴上駅で降りた。南禅寺界隈の写俳取材が目当である。先は無隣庵に入る。山縣有朋の別荘で東山を借景にした名庭がある。雨模様でもあったので唯一人居ない。存分に清閑の刻を味わった。出ると、すぐ近くにこの瓢亭がある。月見の頃とあって、入口の床几には尾花が活けられていた。思い切ってのれんを潜ると、相憎と「看板の時間どして」と仲居さんにことわられた。やむを得ず、南禅寺前の「順正」で湯豆腐をとることにした。和服の美女が二人居て、交るがわるに接待の誠を盡してくれた。写真を撮りたかったが気後れがした。







(表紙題字 陳舜臣)