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今月の表紙 その194 伊丹三樹彦
鳰の湖ながら 外輪船の水脈(みお)
琵琶湖にミシガンの外輪船が周航している。浜大津港を起点とする。それを承知しながら乗船の機は、この六月に初めて掴んだ。
僕が顧問である関西現代俳句協会が吟行会を催したからだ。選んだのは一時間半のコースだから、湖南に限られていた。比良も比叡も遠望できたが、僕の興味は艫に設けられた外輪の働きであった。真赤に塗られた鉄製の水車が勢良く回転して、船の推進力となるのだ。白い航跡を残しつつ、だ。見ていて飽かなかった。子供のように、である。
乗組員にはアメリカの男女学生が多く混っていた。国際協力の任に当って、日米親善のスピリットを発揮していた。
僕が外輪船を知ったのは高槻工兵隊の頃である。淀川で漕舟訓練中に眺めた川船で、左右の舷に外輪が水しぶきを上げていた。今は見られないけれど。
(表紙題字 陳舜臣)
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