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池袋本店で行われたトークセッションの概要をご紹介します。
4月16日(金)
「文化批判と来るべき平和論」
桑田禮彰(駒澤大学教授)
白石嘉治(上智大学講師)
「文化」を、「ある地域の一定のまとまりを持った集団が、歴史の中で生み出した知恵の総体」と定義する桑田さんは、クレポンが提唱する「文化の開放性」に対し「文化の閉鎖性」もあると指摘、いかにその両方を利用して平和へと導くかが政治の課題だ、と言う。それは、グローバリゼーションと閉鎖性の両極の間で、適度な敷居の高さを維持することである。
白石さんは、クレポンが重視する「翻訳」に言及。国際的なものは、各国語の翻訳の中で現われてくるしかない、そうした翻訳が各国のオートノミーをつくりかえる、と言う。文化とは根本的に翻訳であり、他者に出くわした後に生じる。だから文化はいつでも変更可能である。
議論は、イラク戦争や日本人人質事件にも及んでいった。
*『文明の衝突という欺瞞』(マルク・クレポン著・白石嘉治編訳・新評論・1995円)
5月4日(火)
「歌集『伊太利亜』を読む」
岡井隆(歌人)
穂村弘(歌人)

岡井さんが横組みの歌集を出版した。「歌詠みの世界」では騒然である。というわけで、斯界のプリンスである穂村さんと対談をしていただいた。
穂村さんは、岡井さんの短歌創作の根源を「死の不安を短歌に変える」と分析する。「とても孤独なのに、楽しそう、何故?」と迫る。「定型は人に残された最後の楽しみ。自分が一体化できる型、明確な手触りを感じる」と岡井さんは答える。
しかし、とお二人は声を揃える。「戦後に力を持つ詩歌が出ないのは何故だろう。今は定型も自由律も内向きにくぐもっている」歌が社会とコミットし、再び輝く時代が来るのだろうか。
*『伊太利亜』(岡井隆著・書肆山田・2940円)
5月9日(日)
「いのちをめぐる水辺」
今森光彦(写真家)
琵琶湖水系の美しい風景、人と生き物たちが交錯する水辺の様子を、見事に写真におさめる今森光彦の世界は、先日NHKスペシャルでもとりあげられた。今回のトークセッションでは、テレビでは伝えきれなかった想いやエピソードを語っていただいた。
中でも印象的だったのは、この度発行された写真集にも登場する漁師、田中三五郎さんとの話である。琵琶湖では頑固者で有名な三五郎さんに、「今森の言うことなら何でもきいてやろう」と言ってもらえた、と今森さんは嬉しそうに話した。水辺を愛し、自然に親しんできたお二人ならではの強い絆がそこには感じられた。
当日、あるお客様が、こんなことをおっしゃった。「今森さんの写真には、一枚一枚に何かしらの仕掛けがあるから、隅々まで見なくちゃいけなくて大変だよ。」ぜひ、実物でご確認下さい。
*『湖辺』(世界文化社・6825円) 『藍い宇宙』(世界文化社・2940円)
5月14日(金)
「ジュネとパレスチナ」
宇野邦一(立教大学教授)
今から二十数年前に読んだジュネのジャコメッティ論に衝撃を受けたという宇野さん。「僕がジュネについて何か書きたいと思うきっかけとなりました」と話す。
かつてサルトルが書いた『聖ジュネ』のおかげで、ジュネの作品は世界中で翻訳された。やがてジュネという作家のイメージとも重なり合い、ジュネは異様な読まれ方をされ始める。しかし長い間、ジュネに関するニュースが聞かれることはなかった。晩年、ジュネはブラックパンサー運動やパレスチナ解放運動に同伴していたのだった。
パレスチナ問題を主題の中心にした『恋する虜』においてジュネは何を描き出そうとしたのか?ドゥルーズ、アルトーをはじめ、ライプニッツ、ベンヤミン、ランボーなどのテクストを手掛かりに、ジュネ文学を語る宇野さんの静かな語り口に会場に集まった聴衆は聞き入った。
*『ジャン・ジュネ 身振りと内在平面』(宇野邦一著・以文社・2940円)
5月15日(土)
「『宇田川心中』と現代若者の愛と死」
香山リカ(精神科医)
小林恭二(作家)
「死にうち勝つ愛がある」が本書のテーマです、と著者の小林さんは冒頭に宣言する。日本の心中の九割が女から男に持ちかける、しかもこれといった理由もなしに、と小林さんは「日本心中史」を分析する。東西を比較すると、圧倒的に関西に多い、と付け加える。
「愛を永久保存したいから」と解釈する小林さんに、「現代の若者」を研究テーマにしている香山さんは「ピュアのままでいたい」という願望に取り憑かれた若者の増加を語る。「ボランティア志望、も同様な心性です。お金にならない仕事が好き、お金万能時代への反動でしょうか」。
「心中がもてはやされた元禄時代と似ていますね、あの頃の大阪は豊かさを謳歌していました」。若者の感性は時代を敏感に反応するのだろうか。
*『宇田川心中』(小林恭二著・中央公論新社・1995円)
5月21日(金)
「私たちの『ゴールデンアワー』」
四元康祐(詩人)
谷川俊太郎(詩人)

*『ゴールデンアワー』(四元康祐著・新潮社・1260円)
5月2日(日)に、椎名誠さんがプロデュースする「シーナ書店なのだ。」が開店しました。椎名誠店長が選んだ書籍でいっぱいのシーナ書店。ジュンク堂池袋本店七階だけではなく、大阪本店、広島店、福岡店内にも支店が設けられています。
これからの予定
本と読書の話・第2回 6月17日(木)午後6時半〜 申込締切5月31日
本と読書の話・第3回 7月31日(土)午後6時半〜 申込締切7月10日
4階喫茶にて・入場料ドリンク付1000円
ご参加は、抽選とさせていただきます。葉書の発送をもって当選のご連絡となります。予めご了承下さいますようお願い申し上げます。詳細はお問い合せ下さい。 (03-5956-6111)
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