書標 2004.5月号
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今月の表紙  その192 伊丹三樹彦



 菜種梅雨 わけても九輪の請花(うけばな)に

 大阪の四天王寺へ詣った。久々である。幼少時には、播州三木の田舎から何度か、親に連れられて行ったものだ。西門前のセメント菓子や放生池の亀の記憶が懐しい。
 今回は、回廊で、名筆会の人々の出展があり、それには僕たち青玄俳句会の作品が揮毫された為である。
 菜の花にとろんと夕日 しゃんと朝日
 の拙句は、同会主宰の村上翔雲の筆に或った豪快な作品で、圧倒されもした。
 すべてが、夕日を詠った句を対象とした同人連の揮毫作品が、回廊の格子窓を背景に飾られていた。それには訳がある。
 彼岸の夕日を拝む名所として四天王寺の西門があるからだ。夕陽が丘の地名は学校の名にも地下鉄の駅名にも選ばれている位。尤もこの日は雨で、塔頂の九輪や請花をしとどに濡らしていた。





(表紙題字 陳舜臣)