書標 2004.4月号
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今月の表紙  その191 伊丹三樹彦



 水路橋 こはスペインか 日本か

 知らない人は日本と思わないだろう。が、実は京都である。南禅寺である。琵琶湖からの疎水路を天にした煉瓦造である。
 曇日の撮影なので陰影に乏しい憾みがあるけれど、アーチの連なりによる奥行はある。
 写真は一枚の紙によるプリントでしかないので、その立体化に苦しむが、ここでは心配がない。関係筋にはモデルの女性を配した観光写真でお馴染みの場所なのだ。
 俳句に〈こはスペインか〉と詠ったのは、セゴビアの水道橋への思い出があるからだ。古代ローマの構築で、高さも長さも較べ物にはならぬ程の壮大さだった。が、必要にかられたとはいえ、寺内を貫いてのこの異風景には誰しも驚く。この日も修学旅行の生徒たちがかくれんぼをしたり、記念写真を撮ったり。





(表紙題字 陳舜臣)