書標 2006.9月号
今月の表紙 歳時記〈9月〉 著書を語る 特集「文化系女子」 書標・書評
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文化系女子



 「文化系女子」。近頃、よく聴く言葉である。書店現場でも、探してみるといろいろな所で見つかる。例えば雑誌の特集、本の帯の宣伝文句、手書きのPOP、そしてお客様その人。もしかしたら、文化系女子に遭遇できる確率が一番高いのは、書店かもしれない。そう思えるほどに。
 出版社品切れとなってしまっているが、取り上げないわけにはいかない『「ユリイカ」2006年11月号、文化系女子カタログ』(青土社・1300円)は「文化系女子」そのものを真っ向から分析しようとした稀有な例である。だがここでも、ずばりこれが「文化系女子」であるという定義はなされていない。ただ、いくつか興味深い文章があったので、そこをとっかかりに始めよう。様々な視点から、彼女らの存在感や感性が、浮かび上がってくればと思う。
 まず、言葉の意味から。辞書によると、「文化系」とは、文化に関わるものの総称とされる。対義語は、「体育会系」。部活動などで、文化部、運動部と分けられる意味での「文化系」だ。

 そしてやっかいなのが、「女子」の意味。『文化系女子カタログ』中で近代ナリコは、「女性ではなく女子ということばの問題を発端として、文字どおりそこでは性的なものが回避されている、どこかで成熟を拒んでいるのではないか」と述べている。大人になりきる前の意味ならば、少女や乙女という言葉があるが、こちらは10〜16歳前後と制限がつく。

 近代ナリコは、「女性」と「近代」をテーマとしたミニコミ誌「modern juice」(7月、待望の第7号発売。特集は料理本)の発行人であり、文化系女子から絶大な支持を受けている書き手である。

 彼女の編纂した『FOR LADIES BY LADIES』(ちくま文庫・882円)は、鈴木いづみ、矢川澄子、鴨居羊子、水森亜土等、29人のレディ達の、個性的な生き方考え方を集めた、女性による女性についてのエッセイアンソロジー。ポプリ研究家である熊井明子の「幻の姉のように…」中に、少女に関する文があった。熊井は、自分の少女に対するイメージは、昭和20〜30年代の少女雑誌と切っても切れない関係にあり、それは「涙の味もまじっている綿菓子みたいな……抒情的で、綺麗で、啓蒙的なところもちょっとあって、女の子の夢の玉手箱って感じかしら」と称す。これである。この歯の浮くようなロマンチシズム。
 ここに胸をきゅんとさせたあなたは、文化系だ。


少女雑誌

 雑誌が読者を、時代を育てると言われることがある。特に、多感な文化系女子たちにとって、雑誌は重要な情報源だった。先述の少女雑誌も然り、そして文化系女子と切っても切れない雑誌といえば、やはり「オリーブ」(マガジンハウス)であろう。1982年に刊行、2003年に休刊となった。新しい少女文化を提示し、日本の女性文化や生活文化に多大な影響を与える。オリーブを愛読し、ライフスタイルやファッションにこだわる女性は「オリーブ少女」と呼ばれた。文化系女子の元祖と言えよう。

 本誌自体はもう読めないが、特別編集として『オリーブ少女の雑貨感覚。』(マガジンハウスムック・980円)『大好きな雑貨に囲まれて 雑貨少女の楽しい毎日。』(マガジンハウスムック・980円)等は、今でも手に入る。「雑貨」とは、オリーブが広めた言葉である。実用性や生活感からはすこし離れた、少女趣味的な要素の強い文化雑誌であった。

 その系譜を受け継ぎ、現代文化系女子の愛読紙となった「クウネル」(マガジンハウス・月刊680円)は、「ストーリーのあるモノと暮らし」を提唱する。そこでは消費を煽るばかりのカタログ誌とは違い、堅実で美しい生活が繰り広げられており、乙女に夢を与えてくれる。
 その精神を体現したキャラクター「クウネル君」の絵本『クウネルがゆく』(マガジンハウス・1365円)は、そのお気楽な暮らしぶりにうらやましくなる。緑の惑星、ぐうたら星に住むという設定等、いろいろ突っ込むところはあるが、それも乗り越えて彼の不思議くんぶりに惹かれるあなたは、文化系だ。


文学少女

 文化系女子と重ね合わされやすい筆頭が「文学少女」である。イコールではないが、文学少女は文化系女子に含まれるのではないかと思う。
 『本と女の子 おもいでの1960−70年代』(近代ナリコ著・河出書房新社・1680円)は、これまで古書業界で軽んじられてきた「女の子本」の歴史と紹介である。サンリオ出版部の小さくてかわいい本たち、新書館フォア・レディース・シリーズ、雑誌「私の部屋」や「新婦人」等、時代を表す本と、女の子たちの関わりあいをうかがい知ることができる。

 『海月書林の古本案内』(市川慎子著・ピエブックス・1680円)は、かわいいデザインと独特の選書で人気の、インターネット古書店「海月書林」の店主が送る、古本の楽しみ方指南。著者は、荻窪に「海月書林」実店舗を出したばかり。古本と雑貨と旅をテーマにしたミニコミ誌「いろは」(現在第4号まで刊行)の発行も手がける。

 『モダン古書案内 昭和カルチャーの万華鏡』(マーブルトロン・1470円)は、東京と京都の古書店マップと、最新のオンライン古書店ガイドもついて、充実した内容。

 「乙女は読書でおしゃれする」とピンク色の帯がかかった『ブック・イン・ピンク おしゃれ古本ガイド』(山崎まどか著・晶文社・1680円)は、ピンクやレッド、ブルー、ブラウン、グレーと、色で分けられた本の分類が、新鮮で面白い。読書のためのレコード・ライブラリー等、本だけでなく、本を取り巻く環境そのものをも紹介していく点が、どれも共通している。

 読んでいると、すぐさま古本探しに出かけたくなるブックガイドばかりである。そんな「女の子本」の中でも不動の人気を誇る、新書館フォア・レディース・シリーズ思い出復刻版『『ひとりぼっちのあなたに』』(寺山修司文・宇野亜喜良画・新書館・3冊組み3990円)が、2004年に復刊された。
 四角の判型、裏表紙まで凝った装丁、寺山修司の瑞々しい文章、宇野亜喜良の憂いを帯びた少女のイラスト、秀逸な出来である。寺山修司は、少女たちからの詩を公募した同シリーズ「あなたの詩集」の編集を務め、そのカリスマ性を発揮した。

 古本ガイドにしぼって紹介するには、訳がある。『文化系女子カタログ』から面白い説を紹介しよう。木村カナは「二十一世紀文学少女・覚書」で、文学少女のイメージは、明治から大正にかけての「女学生」の身体的なイメージと不思議と重なっていると書いている。この文学少女という幻想が、文化系女子についての認識、あるいは勘違い、さらには文化系女子自身のセルフイメージにも影響しているのではないか、と。



乙女カルチャー
 
 可憐で優美な少女文化が最も盛んだった大正、昭和の女学生たちは、現在の乙女文化のルーツと言えよう。

 『女学生手帖 大正・昭和 乙女らいふ』(弥生美術館、内田静枝編・河出書房新社・1575円)は、詩を読み、手紙を交換し、「エス」と呼ばれる上級生と下級生の交流を発展させた、女学生達の姿を今に伝える。「エス」とは「シスター」の頭文字で、レズビアンとは意味合いの異なる、友達以上恋人未満、「お姉さま」と「妹」の関係のことである。

 昭和の乙女らいふを知るには『少女スタイル手帖』(宇山あゆみ著・河出書房新社・1470円)『乙女のロマンス手帖』(堀江あき子著・河出書房新社・1575円)がお勧め。戦時下に封印されていた女の子の、かわいいものへの憧れや夢が、一気に花開いた時代だ。

 現代の若者がドラマを見、歌謡曲を聴くのと変わらない感覚で、当時は小説や詩が読まれた。時代の最先端が、文学であった頃だ。

 そんな時代の最先端を生き、「エス」文化を謳歌していた女学生たちを描いた吉屋信子の代表作は、『花物語』(国書刊行会・各1995円)。花になぞらえた、少女たちの甘い世界が広がる。中原淳一の可憐なイラストも必見だ。世代を超えて読み継がれる少女小説。

 『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会・全3巻各1995円)の監修を務め、今や乙女たちのカリスマとなった嶽本野ばら。ロリータ趣味や怪奇趣味の織り込まれた小説を書き、少女文化の継承を自任する。

 『それいぬ 正しい乙女になるために』(嶽本野ばら著・文春文庫PLUS・530円)は、乙女の聖書。独特の美学と文体で、孤高で気高い「正しい乙女」像を打ち立てる。自分勝手でいい、友達なんて要らない、困れば泣けばいい、それは少女にしか許されないのだから。この部分につい頷いたあなた、文化系である。


少女像

 文学に劣らず、少女たちに影響を与えたのが、イラストだ。いつの世も、女の子たちはかわいいものが大好きであるが、竹久夢二や中原淳一の描く少女像は、好きを超えて、彼女の趣味嗜好、生き方までも決定付けたと言っても過言ではない。

 大正ロマンを今に伝える竹久夢二の女性像は、時代を超えて愛され続けている。『竹久夢二』(平凡社別冊太陽・2447円)は、1977年に初版、それ以来ずっと刷りを重ねているという。77年当時の広告をそのまま残してある点も、心憎い。作品の背景として、数々の女性関係も交えた夢二の人生をたどっていく。
 憂いを帯びた瞳の、清楚な少女を描いて一世を風靡した中原淳一。「少女の友」で挿絵画家としてデビューし、その後自らヒマワリ社を設立して「それいゆ」「ひまわり」「ジュニアそれいゆ」等を発行。暮らしの工夫、おしゃれのヒント、社交やマナーまで幅広く扱い、日本女性のセンスアップに、多大な貢献をした。そんな彼の言葉をもう一度読みたい、とファンの熱い要望から、エッセイ画集『しあわせの花束』(平凡社・1600円)『ひまわりみだしなみ手帖』(平凡社・1600円)『二人のしあわせ』(平凡社・1680円)が、コロナ・ブックスのシリーズから刊行された。揃えておきたい3冊である。贅沢に中原淳一ワールドを味わいたい人には、オールカラーで大判の『美しく生きる―中原淳一その美学と仕事』(平凡社別冊太陽・2415円)がお勧め。

 少年の中には少女が宿り、少女の中には少年が宿るとも称され、両性具有的な妖しい美少女を描いた高畠華宵は、「講談倶楽部」でデビュー。老若男女、西洋東洋、何でも描けたのが特徴で、あらゆる小説の挿絵を描く。『高畠華宵 大正・昭和☆レトロビューティー』(河出書房新社・1575円)では、そんなカリスマ画家の妖しく美しい世界を堪能できる。

 憂いを帯びた美少女の全盛期に、抒情的な中にもはつらつとした明るさを持つこれまでにないタイプの少女を描いて、人気を博した松本かつぢ。『松本かつぢ 昭和の可愛い!をつくったイラストレーター』(河出書房新社・1575円)は、そんなおちゃめでおてんばな「おちゃっぴい」少女を生み出した、松本かつぢの全軌跡を収録。

 「少女画報」や「令女界」で挿絵を描き、詩や絵本の文章もよく書いた、蕗谷虹児は、パリで本場のアール・デコを吸収し、日本画の線描でそれを表現したモダンな絵でファンを魅了する。『蕗谷虹児 思い出の名作絵本』(河出書房新社・1680円)で、そのスタイリッシュで硬質な画風に触れてみよう。これらを鑑賞するには、東京都文京区にある弥生美術館がお勧め。大正ロマンの挿絵画家の絵を堪能できる。同敷地内に竹久夢二美術館もあり、一日中いても飽きない。
 最近のブームに乗って、『THE きいちのぬりえBOOK』(小学館・800円)等、懐かしの塗り絵がたくさん出ている。思い思いの色を乗せて、自分だけの抒情画を再現してみるのも、粋な楽しみだ。

 すこし時代はくだって、忘れてはいけないのが宇野亜喜良である。昭和を代表する挿絵画家の一人だ。挿絵だけでなく、装丁にも才能を発揮した。ロゴやカバーに趣向を凝らしたかわいい本たちは、女の子の心を捉えて離さない。
 『宇野亜喜良60年代ポスター集』(ブルース・インターアクションズ・3045円)『宇野亜喜良モノクローム作品集』(愛育社・2940円)等で、そのアンニュイな画風が楽しめる。







雑 貨

 概要は書き尽くしたので、ここからは文化系女子をより理解するために、女の子が好きなものを挙げていこう。

 乙女が総じて心奪われるもの、それが雑貨だ。「雑貨屋」は、女の子のなりたい職業ナンバー5に、つねにランクインするそうだ。

 もとは日用品であった雑貨が、かわいいものとして認知され始めたのは、1966年、銀座「ソニービル」内にソニープラザがオープンしたのが、きっかけと言われる。アメリカのポップでカラフルな文具やキッチン用品は、若者に大きな衝撃を与えた。中でも乙女を虜にしたのは、ハーシーズ、マカデミアンナッツ等の輸入菓子だ。『世界中のお菓子あります ソニープラザと輸入菓子の40年』(田島慎一著・新潮新書・693円)は、それらを仕入れ、日本に根付かせるまでの奮闘を伝える。それを受け70年代は、これまでとは違うタイプの雑貨屋が続々とオープンし、ついに八七年、生活雑貨デパート「ロフト」が渋谷に登場するに至って、雑貨ブームは円熟期を迎える。

 そのあたりのことは、『あたらしい教科書@ 雑貨』(岡尾美代子他監修・プチグラパブリッシング・1575円)に詳しいので、参考にしてみて欲しい。細分化し、多様化した雑貨業界を、五つのジャンルにわけて解説していく。もっと深く雑貨を知りたい人、これから雑貨と付き合っていく人、共にお勧めできる一冊だ。
 近代ナリコ初のエッセイ集『インテリア・オブ・ミー』(パルコ出版・1680円)には、群を抜いたセンスのよさが余すところなく発揮されている。女の子特有の「かわいい!」ものに惹かれる感覚、これは長らく説明の仕様がないものとして扱われてきたが、これを読むとなるほどねぇと頷ける。

 今の流行は、天然素材でナチュラルに作られたもののようだが、乙女はそんなことではいけない。嶽本野ばら『それいぬ』より、「乙女のエッセンスとは、紛い物という一言に言い表される気さえするのです。女性のレプリカであると同時に、少年のレプリカでもある少女という存在。乙女とは、現実世界のイミテーションなのです」。そう。乙女たるもの、ジャンクでキッチュながらくたを愛するべきである。(キッチュ……一見、俗悪・陳腐・異様なものにこめられる美的価値のこと)

 ジャンクといえば、アメリカである。『カラフル! アメリカン・ジャンク・カタログ』(中村知子著・新紀元社・1890円)のページは、そのどぎつく身体に悪そうな色使いが、身もだえするほどにかわいい。ひとつあるだけで、部屋の調和が完全に破壊されてしまうインテリア等、すさまじい存在感の本である。
 アメリカもいいけれど、やっぱり私はパリよというパリっ娘には、『パリのカラフルなインテリア』(エディシォンドゥパリ・1995円)はどうか。映画「アメリ」さながらの、メルヘンな空間が広がる。まぶしいほどに明るいパリジェンヌの部屋を、ご堪能あれ。

 そして今やインテリアで不動の人気を誇る北欧。スウェーデンで生まれ、日本では船橋ららぽーとに店舗をかまえるイケアの、『IKEAファンブック』(森井ユカ著・河出書房新社・1680円)は、そのなぜか記憶に残るオリジナルのデザインがあふれ出す。とにかく、安い。そして、種類が豊富。チープでポップ、乙女雑貨の条件満たしまくりだ。全ての商品に値段がついているので、買い物にも重宝する。

 同じ著者の『スーパーマーケットマニア ヨーロッパ編』『アジア編』(講談社・各1890円)は、どちらもそのマニアぶりに感服する。各国の国柄、国民性を見るには、スーパーが一番かもしれない。惚れ惚れするような逸品から、何に使うのかわからない怪しげな土産まで、よくぞここまで集めたものだ。場所やHPの記載もあるので、ガイドブック代わりに旅行鞄に入れておこう。


ミニコミ

 他に文化系女子が好きなものといえば、近代ナリコ「modern juice」、市川慎子「いろは」等の、ミニコミである。読むのも好きだし、できれば自分でも何か書きたい。潜在的書き手、これもキーワードのひとつであろう。

 『ミニコミ魂』(串間努編・晶文社・1995円)は、ミニコミ誌200点の紹介と買い方、作り方、売り方と、ミニコミを楽しむ上での必読書だ。

 『リトルプレスの楽しみ』(柳沢小実・ピエブックス・1680円)は、全て手作りで行われるミニコミ的小冊子、リトルプレスについて紹介されている。展覧会のカタログや、誌上ギャラリー等、制約に捕らわれない自由な本作りは、どれも見ていてため息のでる出来栄え。

 人に配るほどではないけれど、長年書きためた日記や詩を、自分だけの一冊にしてみたいというあなたには、『手で作る本』(山崎曜著・文化出版局・1575円)や『自分で作る小さな本』(田中淑恵著・文化出版局・1785円)がお勧め。身の回りにある材料を使って、思い出の一冊を仕上げることができる。ずっと捨てられなかった紙やリボンを、ここぞとばかりに活用しよう。

 そしてさらに、文章は書かないけれど、何か残したいという方へは、『12カ月のスクラップブック――毎日を素敵に』(柳沢小実・祥伝社・1260円)なんてどうだろう。家族の写真、旅の思い出、気になる雑誌の記事、日々のちょっとしたことをまとめていくだけで、お洒落なスクラップブックができあがる。


メガネ

 文化系女子ファッションはこれ、と説明できるわけではないが、あえてアイテムを挙げるとすれば、やはりメガネではないか。『ガールズメガネ』(太田出版・1365円)等、メガネブームは根強い。本を読む知的なイメージ、メガネを外したらかわいいという意外性が、人気の秘密のようだ。

 月刊誌「デジモノステーション」の連載グラビアをまとめた『ビジョメガネ』(ソニーマガジンズ・1700円)は、美女とメガネの夢のコラボレーション。今をときめくアイドルの、いつもとは違う素顔を覗けるとあって、メガネ好きにはたまらない。さらにパワーアップした内容で、続編も出ている。

 そしてネット上のコミュニティ「メガネ男子愛好会」が世に送り出した『メガネ男子』(アスペクト・1365円)は、発売後異常な売れ行きを記録した。メガネがあれば男前3割増し、メガネがないとだめなの、というメガネフェチたち待望の本であった。続編である『彼のメガネ』 (アスペクト・1365円)が7月に発売され、また話題を呼んでいる。今度は、彼のメガネをもっと知るためだけでなく、どうすれば素敵なメガネ男子になれるか、と男女両方楽しめるようになっている。


これぞ文化系女子

 最後に、これぞ文化系女子という方々を、何人か挙げていきたい。ただ基準として、その仕事が「雑貨」や「イラスト」と限定的ではなく総合的であること、そして大前提として著作が発行されていることとしたい。

 子どもの本の専門店「クレヨンハウス」と、女性の本の専門店「ミズ・クレヨンハウス」を設立し、自身も作家である落合恵子の、『絵本屋の日曜日』(岩波書店・1890円)は、繊細で上品なエッセイ集。100冊の絵本が紹介されていて、ブックガイドとしても、人生のお手本としても使える。雑貨屋もよいが、絵本屋はもっとよいと思わせる一冊。

 女優として活躍する一方、小説へも才能を発揮している本谷有希子。現在4冊の単行本が出ている。表題作含む三編を収録した『江利子と絶対 本谷有希子文学大全集』(講談社・1680円)からどうぞ。引きこもりの少女江利子と、飼い犬の絶対の繰り広げる、ぬるくておかしいお話。「ダ・ヴィンチ 2006年4月号」(メディアファクトリー・月刊・450円) 「文化系女子としたい」特集でも穂村弘と対談する等、文化系女子ぶりを発揮している。

 これ以上のペンネームは思いつかないだろう。漫画家である辛酸なめ子の『自立日記』(洋泉社・1575円)は、これぞ文化系女子の生き様としかいいようがない。本当に辛酸をなめている。本名の池松江美で小説も執筆しており『知恵熱』(パルコ出版・1365円)は、乙女カルチャーの正しい系譜を継ぎつつ、現代風のエッセンスも入っている。

 市川実和子は、ファッション雑誌でカリスマモデルと注目された後、女優、歌手とマルチに活躍する。『縷縷日記』(リトルモア・1785円)は、市川実和子、デザイナーのエリ、フォトグラファーの東野翠れんの三人が、ひっそりとまわしていた交換日記。黒いノートにちりばめられた、刺繍、コラージュ、お気に入りの切手、写真のセンスの良さにぼうっとなる。文化系女子と友だちになれたら、ぜひ交換日記をしてみたいものだ。

 以上です。すこしは文化系女子とは何か、がわかってもらえたでしょうか。