書標 2007.4月号
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「活字の話」

 
十五世紀にグーテンベルグによって発明された金属活字の鋳造技術は書籍の大衆化に大きく寄与した。わが国では、最も早く活字を輸入したのは豊臣秀吉というから驚きである。もっともその時の活字は木製であった。
 膨大な活字の中から的確に活字を選別する文選工、文字組みをする植字工は大変な労力を要する仕事である。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』で、主人公・ジョパンニが活字拾いのバイトをする場面をご記憶されている方も多いのでは。
 一般的に書籍に使われる明朝体は、大別して築地体、秀英体の二種類がある。築地体は、明治初期日本での活字製造の嚆矢となった本木昌造の流れを汲むものである。秀英体は、明治九年に設立された秀英舎(現在の大日本印刷)が開発した字体である。
 近年は電子写植、DTPの技術が発達し、金属活字による活版印刷は次第に姿を消しつつある。しかし、金属活字独特の味わいを愛好するファンもいる。最近では京極夏彦のように、DTPで版下のデザインから関わる作家も登場し、装丁家が活字の作成を手がけるケースも増えるなど、ユニークな試みが行われている。