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フェアタイトル
神話が考える 「ゼロ年代批評最後の大型新人」と東浩紀に称される若手がデビューした。
福嶋亮大、1981年生まれ。専門は中国文学である。
生物の遺伝子が世代を超えて引き継がれていくように、日本の批評界も新しい世代を見出し、
発展していく。
この才能はどこから来て、そしてどのように在り、どこに行くのか?

『神話を考える』を「明晰」というキーワードで読み込んだ書店員・阪根が
「《思考》あるいは《明晰さ》という観点で、影響を受けた人(本)、好んでいる人(本)」は
と、福嶋氏に投げかけ、始まるフェア。

ネット上では店員・阪根と福嶋氏の言葉のやりとりをお読み下さい。
店頭でのこちらのフェアは終了致しました。 その先、二人が投げ合った選書の全ては新宿店で御覧いただけます。
(※店頭でのフェアは2010年5月末にて終了)
新宿店 阪根さん
  福嶋 亮大 様

『神話が考える』という1冊の本をもとにフェアをやるならば、ガチの企画、つまり、
日本を代表する批評家と福嶋亮大さんの《思考》を比較するフェアをしたいと思うのです。

僕の選書は下記の通りです。

《書店員(阪根)の選書》
小林秀雄(1902-1983)『様々なる意匠』『モオツァルト・無常という事』『本居宣長』
江藤淳(1932-1999)『成熟と喪失』『夏目漱石』『アメリカと私』
柄谷行人(1941- )『探究1.2』『マルクスその可能性の中心』『定本 日本近代文学の起源』
浅田彰(1957- )『構造と力』『逃走論』『「歴史の終わり」を超えて』
東浩紀(1971- )『存在論的、郵便的』『動物化するポストモダン』『クォンタム・ファミリーズ』
福嶋亮大(1981- )『神話が考える』

こういう並べ方をすると福嶋さんはすごく嫌がるかもしれませんが、『神話が考える』を読んで
一番興味を持ったのは「福嶋さんの《思考》」です。細部までチェックして分かりやすいように、
分かりやすいようにと何度も手を入れたからかもしれませんが、この「クリア」というか「明晰さ」と
いうのは福嶋さんオリジナル、「福嶋亮大的明晰さ」です。

僕が今までに読んだ本で、明晰さを感じたのはやはり、柄谷(『探究』)、浅田(『構造と力』)、
東(『存在論的、郵便的』)です。それぞれ「柄谷的明晰さ」「浅田的明晰さ」「東的明晰さ」であり、
タイプが異なります。それに今回「福嶋的明晰さ」が新たに加わる訳です。だからガチ、
あるいは定番かもしれませんがこの企画をやってみたいと思います。

福嶋亮大さんには、《思考》あるいは《明晰さ》という観点で、影響を受けた人(本)、好んでいる人(本)
をウェブ用に5冊(5名)と新宿店フェア用に+10冊ほど(計15〜20冊)の選んで頂きたいと思います。

以上ご検討お願いします。
ジュンク堂書店新宿店 阪根正行

小林秀雄全作品 1 成熟と喪失 探究 1 構造と力 存在論的、郵便的
福嶋亮大さん
  阪根 正行 様

「明晰さ」をテーマにということですが、現実の僕はそんなに明晰なタイプではないし、わからないことも
沢山あるので、せめて文章だけは形式的に、かつ流れを持たせて書こうと思ってきました。

文章にリズムがあれば、一般書のなかで理論家の名前を出しても、すっと読んでもらえるのではないかと思ったからです。

むろん、明晰さにもいろいろな種類があります。明晰さは文体だけで決まるものではなく、
結局扱う対象や読者のタイプによって複合的に決定されるものです。文芸評論も、
本当はたとえば朝倉書店や共立出版から出る工学系の本のように、徹底して形式的に書ければ
理想的だと僕は考えているのですが、そこまでの技量はまだ僕自身にないし、読者の側にも
その準備は整っていないと思います。

ただ、従来の、特にフランスの批評に影響を受けた文芸評論は、やたらと修飾過剰なものが多く、
しかもそれが「文学的」だと思われてきた。これは悪しき傾向だし、そもそも必ずしも
「フランス的」というものでもありません。
そのような認識を変えるためにも、情報伝達と文学的感性、そのいずれにも秀でた本を今回は選んでみました。
まずは、web用の5点から。

悲しき熱帯 1 レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(中公)

レヴィ=ストロースの美的かつ事務的な文章には
非常に惹かれてきました。
その文体には、18世紀の啓蒙思想家(≒初期の人類学者)の
影を見ることができます。


オーウェル評論集 3 新装版 ジョージ・オーウェル『オーウェル評論集<3>』(平凡社ライブラリー)

特にディケンズ論が傑作で、ジャーナリズムと
作品論が見事に融合しています。
日本にはあまりないタイプの評論で、一読をお勧めします。



素粒子 ミシェル・ウエルベック『素粒子』(ちくま文庫)

いかにも頭の良いフランス人が書いた、
きわめて明晰な文体と主題を備えた小説。
同じ著者の『ある島の可能性』にも、非常に影響を受けました。


モンゴル帝国の興亡 上 杉山正明『モンゴル帝国の興亡(上下)』(講談社現代新書)

最近の歴史家では一番よく読んでいます。
「かつてこういう世界があり得た」という実在感に富んだ書物。
モンゴルの台頭の世界史的意義はよくわかります。


絵の言葉 新版 小松左京+高階秀爾『絵の言葉』(青土社)

絵を文明論的に位置づけようとする興味深い対論。
特に小松左京の好奇心と視野の広さは驚異的です。
最近の絵画論において失われた視点がここにあります。


店舗用の選書は別表にまとめます。
御手許に。

福嶋 亮大

新宿店フェア情報 2人による選書フェアは2010年5月末にて終了いたしました。

 批評家の《思考》
  ―福嶋亮大『神話が考える』(青土社)刊行記念フェア


 開催期間:2010年5月1日(土)〜2010年5月31日(月)
 開催場所:ジュンク堂書店新宿店7F23番 人文書フェア棚
新宿店フェア風景 新宿店フェア風景 新宿店フェア風景
新宿店フェア風景 新宿店フェア風景 新宿店フェア風景
新宿店フェア風景

※2010年5月6日(木)19時〜21時 福嶋亮大『神話が考える』(青土社)刊行記念トークセッション
福嶋亮大 × 池田純一
  「『神話が考える』の後に
  ―村上春樹「1Q84」・情報社会・批評のこれから―」
が開催されました。
おふたりのトークセッションでの様子はこちら。
新宿店トークセッション風景 新宿店トークセッション風景 新宿店トークセッション風景
トークセッションの詳細については
>>「福嶋亮大・池田純一トークイベント 神話が考える 1Q84」(Togetter)
にて御覧いただけます!