「明晰さ」をテーマにということですが、現実の僕はそんなに明晰なタイプではないし、わからないことも 沢山あるので、せめて文章だけは形式的に、かつ流れを持たせて書こうと思ってきました。 文章にリズムがあれば、一般書のなかで理論家の名前を出しても、すっと読んでもらえるのではないかと思ったからです。 むろん、明晰さにもいろいろな種類があります。明晰さは文体だけで決まるものではなく、 結局扱う対象や読者のタイプによって複合的に決定されるものです。文芸評論も、 本当はたとえば朝倉書店や共立出版から出る工学系の本のように、徹底して形式的に書ければ 理想的だと僕は考えているのですが、そこまでの技量はまだ僕自身にないし、読者の側にも その準備は整っていないと思います。 ただ、従来の、特にフランスの批評に影響を受けた文芸評論は、やたらと修飾過剰なものが多く、 しかもそれが「文学的」だと思われてきた。これは悪しき傾向だし、そもそも必ずしも 「フランス的」というものでもありません。 そのような認識を変えるためにも、情報伝達と文学的感性、そのいずれにも秀でた本を今回は選んでみました。 まずは、web用の5点から。 |
レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(中公)レヴィ=ストロースの美的かつ事務的な文章には 非常に惹かれてきました。 その文体には、18世紀の啓蒙思想家(≒初期の人類学者)の 影を見ることができます。 |
ジョージ・オーウェル『オーウェル評論集<3>』(平凡社ライブラリー)特にディケンズ論が傑作で、ジャーナリズムと 作品論が見事に融合しています。 日本にはあまりないタイプの評論で、一読をお勧めします。 |
ミシェル・ウエルベック『素粒子』(ちくま文庫)いかにも頭の良いフランス人が書いた、 きわめて明晰な文体と主題を備えた小説。 同じ著者の『ある島の可能性』にも、非常に影響を受けました。 |
杉山正明『モンゴル帝国の興亡(上下)』(講談社現代新書)最近の歴史家では一番よく読んでいます。 「かつてこういう世界があり得た」という実在感に富んだ書物。 モンゴルの台頭の世界史的意義はよくわかります。 |
小松左京+高階秀爾『絵の言葉』(青土社)絵を文明論的に位置づけようとする興味深い対論。 特に小松左京の好奇心と視野の広さは驚異的です。 最近の絵画論において失われた視点がここにあります。 |
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店舗用の選書は別表にまとめます。 御手許に。 福嶋 亮大 |
2人による選書フェアは2010年5月末にて終了いたしました。―福嶋亮大『神話が考える』(青土社)刊行記念フェア 開催期間:2010年5月1日(土)〜2010年5月31日(月) 開催場所:ジュンク堂書店新宿店7F23番 人文書フェア棚 |
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※2010年5月6日(木)19時〜21時 福嶋亮大『神話が考える』(青土社)刊行記念トークセッション 福嶋亮大 × 池田純一 ―村上春樹「1Q84」・情報社会・批評のこれから―」 おふたりのトークセッションでの様子はこちら。
トークセッションの詳細については >>「福嶋亮大・池田純一トークイベント 神話が考える 1Q84」(Togetter)にて御覧いただけます! |











2人による選書フェアは2010年5月末にて終了いたしました。