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本で旅する 第1回神戸

日本全国には数多くの町があり、その1つ1つがすべて違う顔を持つ。

昔に比べて地方色が薄れつつあるという声も聞くけれど、やはり生まれ育ったこの町は他の町とは一味違う。 
県民性に関する本やテレビ番組を見て、今まで当然と思っていた習慣や言葉が実は自分の町でしか通じないことを知って驚くことも多々あります。本にもその土地ごとにゆかりのある本が多く出ているけれど、普段はなかなか目にすることができません。 ここでは、地域の歴史から文化、出身作家や著名人など地域ゆかりの本を紹介します。 

第1弾は「神戸」

古くは遣隋使の時代から港が開かれ、平清盛により福原京が計画された頃に港が整備され「大和田泊」として発展。そして現在は−海と山に囲まれた東西に細長い市街地を持ち、日本有数の神戸港を有する港町。異人館に代表される異国情緒あふれる街。おしゃれな街。1000万ドルの夜景。そして阪神・淡路大震災。 
様々な顔を持つ神戸にゆかりの本を紹介します。


書を読んで街に出よう。神戸を舞台とした作品を巡る旅。

お家さん 文学の旅
お家さん 上巻
 /  下巻

玉岡 かおる 著 出版社 新潮社
1,680円(1,600円+税) ISBN 9784103737094

港町神戸を支えた産業の一つに挙げられる、造船業。
なかでも、第一次世界大戦の景気を追い風に、造船業で躍進し成金の一員となった巨大商社・鈴木商店は、その後昭和初期における凋落ぶりも含めて近代日本に大きな印象を残す。

本書は、その鈴木商店の女あるじである「お家さん」、鈴木イネの一代記である。当時の神戸の街やそこで暮らす人々の様子が生き生きと伝わってくる1冊。

孤高の人 文学の旅
孤高の人 上巻 / 下巻

新潮文庫 に 2−3
新田 次郎 著 出版社 新潮社
700円(667円+税) ISBN 9784101122038

昭和初期、一部の限られた裕福な人たちによって独占されていた登山界に、颯爽と現れた実在の社会人登山家・加藤文太郎が主人公の登山小説。
高取山や六甲山で登山を覚え、会社で働きながら休暇を利用して日本アルプスの山々をひとり疾風のように次々と踏破した「単独行の加藤文太郎」。仕事でも、高等小学校卒業の学歴でありながら、独力で道を切り開きながら技術研修生から技師にまで昇格した。
加藤文太郎の愛と孤独の青春を軸に「なぜ山に登るのか」の問いに鋭く迫る山岳小説の傑作。

青に散る 文学の旅
青が散る 新装版 上巻 / 下巻

文春文庫 み 3−22 

宮本 輝 著 出版社 文藝春秋
490円(467円+税) ISBN 9784167348229

大阪郊外に新設された大学に入学した1期生たちが三宮、六甲、大阪を舞台に、繰り広げる青春群像劇。
燎平と夏子の運命的な出会いに始まり、金子や安斉、祐子などの友情や愛情が絡み合いながら「青が散る」までの、青春という一度だけの時間を生きるキラキラとした輝きと色濃い影を切り取る。

自らの道を切り開こうとする青春の崇高さと残酷さを描き切った永遠の名作。

神戸在住 文学の旅
神戸在住 1巻〜10巻

アフタヌーンKC

木村 紺  出版社 講談社
480円(457円+税) ISBN 9784063211047

東京から神戸に家族で引越し、大学生活を送る女の子、辰巳桂が主人公のコミック。
イラストの柔らかなタッチ、物語全体に流れるゆるさ加減が、神戸のやわらかな街の雰囲気をよく現している。また、第3巻では阪神大震災直後の話が詳しく語られるなど、神戸ならではのエピソード紹介も織り込まれている。

一話毎に冒頭や末尾に描かれている神戸の街の風景や紹介文も必見。思わず訪ねたくなることうけあい。

神戸在住 文学の旅
少年H 上巻 / 少年H 下巻 

妹尾 河童 著  出版社 新潮社
660円(629円+税) ISBN 9784101311067

舞台美術家・エッセイスト妹尾河童が、戦時下の神戸で過ごした自らの幼少年期の記憶をもとに描いた、自伝的小説。
須磨の近くにある海辺の町で洋服商を営む父母のもとに生まれたH少年が、さまざまな人々に出会い成長していくさまが生き生きと描かれている。
その実証性に対しては疑問を呈する意見が出されているものの、H少年の視線で語られる当時の神戸の街や人々の様子は詳細かつ魅力的であり、当時の社会背景について知識がなくても容易に物語の世界に引き込まれる。
妹尾作品ではおなじみの詳細な地図や図面は本著作でも織り込まれていて、読む人の想像力をさらにかきたててくれる。