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2010.8.3
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松家さんは「考える人」2010年夏号での特集・村上春樹さんへのロングインタビューを最後に、新潮社を退社されました。なぜ?どうして?―誰もが聞きたいことだと思います。
でも、こんな時だからこそぶれずに、丹念に「松家さんを形づくるもの」を探っていきたい。そこで、松家さんの仕事を見渡すと、いまは亡き二人の人物が、大きな光を放っているように見えたのです。
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―1990年に、松家さんが「小説新潮」増刊の「マザー・ネイチャーズ」を立ち上げる際、星野道夫さんに連載を依頼されたそうですね。
星野さんを知ったきっかけを教えて下さい。
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松家:まさにそうだと思います。
そんな星野さんの姿勢を象徴的に語るエピソードが、カリブーの季節移動の大群のまっただなかに、星野さんがのみこまれるように入ってしまったときの話です。
写真家としては決定的な瞬間だったのに、星野さんはカメラを置き、撮影をやめてしまった。
「決定的瞬間」を狙う動物写真家なら、ありえないことでした。でも星野さんは、カリブーの大群に包まれる感覚を全身で感じとり、
味わい、記憶することを選んだわけです。星野さんの「写真家にして写真家にあらず」としか言いようのない、核心的な部分をあらわす話だと思います。