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アテネ文庫 西田哲学

アテネ文庫復刊にあたって



昭和23年3月25日、「アテネ文庫」は呱々の声をあげた。
爾来、凡そ10年に亘り刊行を続け、その点数は294点を
数える。往時、敗戦後の荒廃の中で、紙は甚だ入手困難
な貴重品であり、また、活字に対し飢餓状態にあった日本
人にとって、「本」は干天の慈雨であった。 はじめ、アテネ文庫は不足する紙を探すところから始まり、 64頁の薄い
本として、 スタートを切った。何ゆえ、64頁であったのか。
一枚の紙に一冊の本を凝縮させて、可能な限り多くの
読者に本をお届けする、このことが編集子の強い願いで
あったからである。(因みにA判全紙一枚は、文庫本64
頁になる)わずかA判全紙一枚の中に、「最も簡素なる
小冊の中に、……」 と高潮した文意で念じた編集子の
初志や諒たり。現今、 世上には物も情報も洪水のように
流れ来たり、書店に欲する本なく、選ぶに術なし。
小社はここに、小社の先人が選した珠玉のような数々を
再び世に送り出し、慌ただしき世の大方の読書人の便に
供する次第である。願わくは、読者諸賢の絶大なる
ご愛顧を切望する次第である。
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   ■ 書目リスト(全40冊)

1  『茶の精神』 久松 眞一
【解説を読む】 【商品ページにいく】
83 『プラトンの自叙伝』 高田 三郎 訳
【解説を読む】 【商品ページにいく】
187 『富』 大塚 久雄
【解説を読む】 【商品ページにいく】
11 『社会主義神髄』 幸徳 秋水
【解説を読む】 【商品ページにいく】
84 『死刑論』 木村 亀二
【解説を読む】 【商品ページにいく】
188 『憲法を守る力』 佐藤 功
【解説を読む】 【商品ページにいく】
12 『終戦覚書』 高木 惣吉
【解説を読む】 【商品ページにいく】
92 『西田哲学』 務台 理作
【解説を読む】 【商品ページにいく】
196 『マホメット』 井筒 俊彦
【解説を読む】 【商品ページにいく】
19 『青年に与う』 鈴木 大拙
【解説を読む】 【商品ページにいく】
93 『東京の木賃宿』
幸徳 秋水 著・中島 及 編
【解説を読む】 【商品ページにいく】
199 『孝行無用』 戸川 行男
【解説を読む】 【商品ページにいく】
27 『ドストエフスキイ』 小林 秀雄
【解説を読む】 【商品ページにいく】
97 『人間の探求』 長与 善郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
212 『日本旅行記』
ヴィルマン 著 尾崎 義 訳
【解説を読む】 【商品ページにいく】
30 『キリスト教と近代文化』
ヨゼフ・ロゲンドルフ 著 野口 啓祐 訳
【解説を読む】 【商品ページにいく】
108 『タバコの文化史』 加茂 儀一
【解説を読む】 【商品ページにいく】
213 『日本人の交際』 和歌森 太郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
32 『ソヴェートの市民生活』 丸山 政男
【解説を読む】 【商品ページにいく】
117 『自殺について』 唐木 順三
【解説を読む】 【商品ページにいく】
250 『律令制度の社会と文化』 宮城 栄昌
【解説を読む】 【商品ページにいく】
33 『友人近衛』 有馬 頼寧
【解説を読む】 【商品ページにいく】
139 『寺田寅彦との対話』 宇田 道隆
【解説を読む】 【商品ページにいく】
251 『神話・伝承と古代文化』 肥後 和男
【解説を読む】 【商品ページにいく】
34 『宗教者の生活』 柳田 謙十郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
150 『西洋古代哲学史』 田中 美知太郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
267 『日本原始文化』 樋口 清之
【解説を読む】 【商品ページにいく】
38 『一寸法師』 石田 英一郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
151 『安楽死』 山名 正太郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
271 『明治社会史』 福地 重孝
【解説を読む】 【商品ページにいく】
53 『弁証法入門』 高山 岩男
【解説を読む】 【商品ページにいく】
167 『ネール首相の秘密』 岡倉 古志郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
272 『古代日本の交通』 坂本 太郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
56 『封建文化と近代文化』 長谷川 如是閑
【解説を読む】 【商品ページにいく】
180 『日本の国家』 長谷川 如是閑
【解説を読む】 【商品ページにいく】
277 『幕藩体制』 伊東 多三郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】
66 『哲学入門』 高山 岩男
【解説を読む】 【商品ページにいく】
186 『憲法と近代的人間像』 末川 博
【解説を読む】 【商品ページにいく】
279 『江戸時代の三大改革』 津田 秀夫
【解説を読む】 【商品ページにいく】
285 『中世日本の形成』 芳賀 幸四郎
【解説を読む】 【商品ページにいく】


   ■ 解説(全40冊)

1 茶の精神 久松眞一
  茶道は近来、娘さんの嫁入仕度や、金持の道楽になったり、いやに形式化されたりして、現代人の反感を買っているが、よく体究してみると、日本独得の貴い世界的文化財でもあり、又洗練されたる高い教養でもあって、将来益々再認甦新さるべき伝統である。本書はかかる茶道の精神と性格との解明を試みたものである。

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11 社会主義神髄 幸徳秋水
  彼は大逆事件なる不可解な名目のもとに暗に葬り去られた謎の人物であった。旧き帝国主義日本の官憲は、国民に彼の名を口にすることさえ許さなかったのだ。しかし四十年後、この不可解なる謎の解かれるべき時は遂にきた。謎は軍閥政府のからくりの中にあり、この先駆者こそは謎どころか最も明瞭なる人物であることを、日本社会主義史上の最初の古典である本書が物語るであろう。

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12 終戦覚書 高木惣吉
  八月十五日、それは国民の前には青天の霹靂であったが、実は身を危難にさらして救国のため暗躍する覆面の俳優達によって、きわめて隠密裡に演出されつつあった暗転する舞台の、ただ最後の一幕にすぎなかったのである。 そこにはいまだ明るみに出されない数々の秘話が隠されている。本書はその覆面の俳優の一人によってもらされた秘話の一端である。

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19 青年に与う 鈴木大拙
  今の若い人達は日本が最も軍国主義的になっていた頃の人達である。何でも 「お上」 一点張りで押えつけられ、煽られて、生育して来た。敗戦後はその依るべき所を失い、混乱の社会にあって、たださまようかの如き青年たちが、その反動として何物かに無自覚に依ることのなからんことを切に望んで、著者は「青年は自ら主となり、自らに由り、自らに在り、自ら考え、自ら批判することを学ばねばならぬ」という。

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27 ドストエフスキイ 小林秀雄
  ドストエフスキイという名前は私達を殆ど奇蹟へと導く。巨大な超人の幻影に私達はひきずり廻される。夜のように深い静かさと血と乱れと号泣を含むドストエフスキイ。思想と芸術との交錯は海のような浪漫と鉄のような俊厳とをもって、文学が人間を描き得る最高の姿へと連れゆく。この霊峰にいどんで、小林氏ほど逞しい表現を示す人はない。

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30 キリスト教と近代文化 ヨゼフ・ロゲンドルフ 著 野口啓祐 訳
  終戦後の文化危機の中にあって、この退廃と虚無の現実を救うものは果して何であろうか。かつてこの様な危機に遭って人類に光を与え、これを克服せしめたものは宗教のみであった。今日宗教は近代文化に如何なる位置を占めるのであるか。著者は宗教特にキリスト教こそ新しき世界秩序の維持と近代文化の発展を促進するものでなければならぬと言い、信仰の覚醒と近代文化の正しき在り方と方向とを示唆している。

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32 ソヴェートの市民生活 丸山政男
  ロシアの十月革命により、その国土には、未曾有の全経済の改造が新しい社会主義的基礎の上に行われた。だが、その生活は単調きわまる画一主義として信じられているようである。しかしソヴェートは創造力に富んだ鮮明な個性の無限の集団であると主張する。いずれが真実であるか、それを朝日新聞特派員として長期間、詳さにソヴェートの市民生活を見聞し、体験した著者による本書が具体的に答えるであろう。

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33 友人近衛 有馬頼寧
  貴族の随一たる家に生まれ、河上肇に教えを受け、軍閥の横行する時代に内閣を率い、悲劇の主人公をつとめた近衛文麿の人物、生涯は少なくとも外見的には伝記作家が触手を伸さずにいられないであろう。しかし、所謂聞き上手の彼は深く自らを語らず、彼の本心或いは希求したところは明らかでないようである。長く友人として又同僚として接触した有馬氏は彼の日常の言動を誌して明らかにした。

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34 宗教者の生活 柳田謙十郎
  宗教に生きるものは何よりもまずその生活を宗教の真理によって新しくするのでなくてはならない。生活の現実に侵透しない宗教は無宗教にひとしい。 我々はその信仰によって現実を打開する勇気と力とを得るのでなくてはならない。宗教者は現代の苦悩の中にあっていかに生き、いかに行動すべきであるか、本書はその第一歩を明らかにせんとするものである。

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38 一寸法師 石田英一郎
  日本の神社信仰や民間説話の中には、古く母子の神を崇拝した痕跡を残すものが多い。著者は比較民族学の方法によってこの信仰の世界文化史的根源を追究。これを古代の南ユーラシア大陸に生まれた原始大母神とその子であり同時に夫でもある小男神との結合した信仰の中に求め、この原始信仰の系統をひく母子相姦始祖伝説、処女懐胎、水神童子等の諸要素を含む説話が、南太平洋から東アジアに広く分布することを示す。 感の豊かさが苦しい思索の日常を美しく彩っている。

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53 弁証法入門 高山岩男
  今日常識化されると共に根本的な誤解も伴っている弁証法をヘーゲルとマルクスとに溯って解明したもの。両者の共通点と相違点とを明瞭にし、観念弁証法と唯物弁証法の根源にある弁証法そのものの意味を解説しようとしたものである。

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56 封建文化と近代文化 長谷川如是閑
  我国には古い文化形態の多くが、博物館の中にでなく、現代文化として生活の中に生き残っている。従って、我々は自分の眼や耳で直接過去の文化に接して検討出来るわけである。この書は輪廓的に封建文化と近代文化とについて多面にわたって対比し、我々の過去の文化を顧み、その基礎の上に世界的文化をこの土に植え、明治以後の如き附焼刃でない、国民文化としての真の近代文化建設のために反省の資を提供する。

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66 哲学入門 高山岩男
  哲学というものが日常の人生の何処から成立するかを説き、哲学が人生に根源的な意義をもてることを説く。と共に進んで哲学自身が漸次深まって究極的のものを求めて行く段階を、理想主義・汎神論・実存主義の三つに分けて解明したものである。

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83 プラトンの自叙伝 高田三郎 訳
  プラトンはシラクサのせん主デイオンを熱愛した。後、その後嗣を擁して不穏な情勢の中に不安にかられた政治家達の求めに応じて、プラトンが助言を与えた書簡である。プラトンはこの中で彼の政治思想、法律思想の形成を、自らの生涯を語りつつ述べている。プラトン哲学に於て政治的、実践的なものがその本質的性格であることを思えば、この書簡は自らその哲学の形成過程を明らかにした、極めて重要なものである。

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84 死刑論 木村亀二
  死刑を保存しているか否かは、その国の文化の高さを示すといわれる。死刑を肯定するか否かは、その人の文化的人道的意識の高さによってきまるといっても過言ではなかろう。しかし、死刑を保存すべきか否か、肯定すべきか否かを決定する前に、それが保存され、肯定される価値があるか否かが十分検討されねばならぬ。本書は死刑に関する論議を歴史的に概観し、現在のこの問題に多くの参考を提示する。

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92 西田哲学 務台理作
  我国に始めて独自の哲学体系を築き上げた西田博士の表現は、極めて特色的なものであり、そのため至って難解とされている。本書は西田博士の高弟務台博士が、西田哲学に於ける最も重要な三つの論文、即ち 「弁証法的一般者としての世界」 「実践哲学序論」 「場所的論理と宗教的世界観」 を通して、西田哲学の真髄を明らかにした。

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93 東京の木賃宿 幸徳秋水 著・中島 及 編
  『束京の木賃宿』と『世田ケ谷の繿縷市』の二篇は明治の日本資本主義勃興期におけるプロレタリアの生活実態を描いた探訪記録、日本最初のルポルタージュ文学である。別に本書には、有名な「大逆事件」の生き残りである二人の老翁の座談会の貴重なる記録を収めている。

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97 人間の探求 長与善郎
  トーマス・マンの『ゲーテとトルストイ』は、一般普通の月並みな見解や概念の枠外に落とされている。この両巨人の人間事実の新しい考察、検討でみたされている。著者はマンのこの書を敷衍しつつ、正面的な人間真実を探究した。そしてゲーテの人間はゲーテの思想よりも大きく、トルストイの人間はトルストイズムよりもはるかに大きいものであることを指摘している。

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108 タバコの文化史 加茂儀一
  タバコは嗜好品の王座を占めていると同時に人類文化と最も密接な関係を持っている。新大陸の発見後初めてそこから旧大陸へ渡来して以来二百年あまりで全世界にひろまり、至る処で人々を魅惑したばかりでなく、この植物に対する人間の本能的な熱情は、経済、法律、政治、風習などのあらゆる文化の面に大きい影響を与えた。本書はそれらの現象を社会史的又は民俗学的な立場から描き出すことを目的としている。

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117 自殺について 唐木順三
  思想と感覚の乖離に苦しんだはてに自殺していった人々は、我々の苦しみを典型的に苦しんでくれたという点で、我々と無縁ではない。しかも多くの思想人を苦しめた原因は除去も治癒もされてはいない。この書は 「きけわだつみのこえ」 の場合、巣鴨戦犯の場合、透谷、藤村操、武郎、竜之介、太宰、原口統三、山崎晃嗣、菅季治その他をとりあげて、日本における自殺の原因の特殊性を探ったものである。

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139 寺田寅彦との対話 宇田道隆
  十数年にわたって寅彦の謦咳に触れた著者が、特に耳に残った言葉を、その都度ノートしておいたもの。少数の人たちとの座談を好んだという寅彦の片言隻句は、かえって面目躍如としているともいえる。本書はそれらの中から、寅彦随筆の愛読者、科学を学ぶ人、研究に従う人たちに参考になり、興味のあるものを選んで収録した。読む人は直接寅彦に対している感に促われるであろう。

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150 西洋古代哲学史 田中美知太郎
  現代の我々の思考の形は西洋哲学の流れを汲むものとなっている。哲学を学ぶ者はもとより、一般教養人にとっても哲学の故郷ギリシアは永遠に忘れることができぬものである。本書は泰斗田中美知太郎教授が、大きな二つの流れとしてギリシア哲学を把握せしめるべく概観したものである。西洋古代哲学の把握はある意味に於ては一種の哲学入門ともいうべく、本書をあらゆる人におすすめする。

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151 安楽死 山名正太郎
  本書は文芸作品に取扱われた安楽死を探り、その古き歴史を語り、各国の合法化運動の実際を述べ、最近テスト・ケースとして論争せられたアメリカと日本の二つの公判記録と判決の評釈を紹介し、さらに現実を追うて世論調査におよぼし、哲学ならびに人類生物学から解明と示唆を与えたもの。安楽死の全貌を知る好著である。

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167 ネール首相の秘密 岡倉古志郎
  外に向っては反帝国主義を叫び、ソ中両国との友好を唱えながら、国内では徹底した反共政策を行い、ネールの政策は世界の謎となっている。 本書はいわゆる国際政治の舞台での「第三勢力」のありかた、及びその背景をなす内外の諸事情、そしてアジア、アラブ地域の民族主義の問題を明らかにしつつ、この「謎」の由来するところを解明した。

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180 日本の国家 長谷川如是閑
  日本という国は、経験主義的の、現実主義的の、しかもそれを「主義」などという観念形態にまとめようともしないで、生活そのもので実践した国である。日本人の強味はそういう国の歴史に育てられた人間であるというところにある。著者は早くからこういった意味のことを「日本的性格」という造語で語って来た。こういう観点から著者は稿を改めて、日本の国家の成立、発展の特殊性を論じた。

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186 憲法と近代的人間像 末川 博
  現代のわれわれは絶えざる不安の暗雲におおわれた気分でいる。十年前のように、何とかなるだろう等という考え方ではすまされまい。自ら考え、自ら進まねばならない。近代的人間とは何かという問に答え、今日の不安を最も端的に示している憲法論議をめぐって論じているこの書は、危機に臨む現代人が決意を固めるために不可欠のものと信じる。

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187 富 大塚久雄
  富(また富裕とか経済的繁栄とか)とは一体何であろうか。普通それは自明のことと思われているが、それはその実体と、幻像とを混合しているのではないか。そこで富とは何かの問に答えることは重要なことであり、戦後の我国において国外市場と、又新資源の開発を最先に考える傾向から脱するために不可欠のことである。そのための理論的突破口を見つけるに役立つ史実を指摘しながら説いた好著である。

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188 憲法を守る力 佐藤 功
  我国の憲法はどのようにして作られたか。それは『ニッポン日記』の中にも語られているが、それのみが真実ではない。この書はその点を補うべき事情を伝えている。更にこの憲法を維持強化してその真価を発揮せしめることこそが、我国の平和的自力のための道である所以を明瞭にした。憲法論議盛な現代に、あらゆる人々の熱読を期待したい。

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196 マホメット 井筒俊彦
  底深き天空に炎々と燃えさかる灼熱の太陽、地上には焼けただれた岩石そして見はるかす砂また砂の広曠たる平原。このアラビア砂漠の一点に現われたマホメットが、手を一振りすると忽ちそれに応じて全世界が動揺し惑乱し、果ては東洋ばかりか西洋の歴史まで大きく旋回してしまった。彼マホメットの正体は何だろう。

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199 孝行無用 戸川行男
  戦後あらゆるものが変革された中に、親子の間の倫理は依然牢固として動かない。ある親殺しの事件をモデルとして一般の孝行観を紹介し、親だから、年長だからとして形づくられている親の側からの倫理が、忠義や仁義にいかほど近いかを鮮かに描き、子供の側からの倫理の形式こそがよりよい社会の建設に原動力となりうることを強調している。

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212 日本旅行記 ヴィルマン 著 尾崎 義 訳
  著者ヴィルマンはスウェーデン人。将軍家綱に謁見のため来朝したオランダ使節団に随行して、鎮国後間もない日本を見聞した。これは鎮国時代における日本紀行の最古のものであり、きわめて興味深いばかりでなく、我国にも少い当時の渉外事項に関する記録を補う記事も少くない貴重なものである。

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213 日本人の交際 和歌森太郎
  日本人の家計の中で、交際費は相当な高率を占めているという。日本人の交際というものはどういう間柄で、どういうふうに行われているのだろうか。民俗学的見地から、社会条件の分析に基いて興味深くこれを明らかにしたのが本書である。我々の社会を本当に近代化させようと願う人たちにおすすめする。

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250 律令制度の社会と文化(日本歴史シリーズ) 宮城栄昌
  大化改新以後、平安遷都まで、すなわち摂関制度が行われる以前の時代は、天平・白鳳時代を含み、我国の文化が、その第一の花を咲かせた時であった。本書はこのいわゆる奈良時代の政治、経済そして文化の実態を明らかにし、その律令社会が、いかにして自滅して、次の時代へ移って行ったかまでを簡明に把握せしめる。

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251 神話・伝承と古代文化(日本歴史シリーズ) 肥後和男
  日本民族は歴史的に多くの異った要素を含むがゆえに、それを統一に導くべく神話が生れたと考えられる。我々は神話や伝説を生んだ古代的心意というものを見出すことによって、又神話や伝説の分析によって日本の古代というものを理解できるのではあるまいか。

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267 日本原始文化(日本歴史シリーズ) 樋口清之
  従来神話伝承を基礎として構成されてきた日本古代史について実証的科学的研究を行うべき要望が強くなり、古代の遣跡、遣物を対象として、帰納的に人間の過去を研究する考古学的研究は従来の古代史への批判として新分野を開拓した。本書はあたうかぎりの諸資料の上に執筆された最新の書である。

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271 明治社会史(日本歴史シリーズ) 福地重孝
  明治社会史は現代の社会的諸関係を普遍的に認識するための、社会学にとって重要な一部門をなしているばかりでなく、政治史、経済史、文化史などと並んで、一般的歴史の一部門としての明治社会史が、過去の社会的事実を個別化的に把握するものとして成立するであろう。本書は明治社会に発生する社会事象の基本社会の事実の跡をたどり、それがもたらす特質について述べられたものである。

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272 古代日本の交通(日本歴史シリーズ) 坂本太郎
  交通行為はわれわれの生活の重要部分を占めており、その歴史的発展を知る事は、今日の文化の成り立ちや性格を考える上に必要であり、また歴史を政治や思想という上部構造的なものからだけでなく、それを支えた具体根本の事象から見るには是非知らねばならぬ事柄である。本書は古代日本の交通機関、制度、及び旅する人々について史実に基き解説する。

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277 幕藩体制(日本歴史シリーズ) 伊東多三郎
  鎌倉時代以来の長い武家政治史の中でもっとも強大な権力を以って長い間庶民階級を支配した江戸時代に於ける幕府と諸藩との組合せによる封建制国家の体制は如何になされたか。その組織、権力の基礎、権力の本質等につき詳述された好著。

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279 江戸時代の三大改革(日本歴史シリーズ) 津田秀夫

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285 中世日本の形成 芳賀幸四郎
  古代日本のなかから中世日本の生れてくる過程、具体的には、古代国家の最後の政治形態である院制の成立から、鎌倉幕府の開設までの約百年の歴史を中世的なものの成長ということに視点をおいて、その展開の大筋を明らかにした。

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